「心療内科」「神経内科」「精神科」の違いは?
結論:全くの別物です。
特に、心療内科は「軽い精神科」では無いという点に注意しましょう。
<類似質問>
専門領域と、実際の表記
精神・神経関係の科名はとかく紛らわしいと言われます。ネットでざっと調べた所、実際にこんな「科名」があるそうです。特にまぎらわしそうなところをピックアップしました。
・・・えー、たしかに見慣れないと何だコレ状態になるかもしれません。実はここには『3つの分野』の科名が混在させてあります。皆さんは分類できるでしょうか?
とりあえず結論を表にしてみましょう。
基本 | 扱うテーマ | 病気の例 |
---|---|---|
精神科 | "精神"の問題 | 統合失調症、躁うつ病、うつ病 |
神経内科 | 臓器としての脳神経 | パーキンソン病、脳梗塞、頭痛 |
心療内科 | 精神的な問題と関係する身体の病気 | 胃潰瘍、気管支喘息、過敏性腸症群 |
本当の"心療内科医"はほとんどいない。
ところが、現実には大きな問題が有ります。「心療内科」という科は歴史が浅く養成機関もわずかなことから、専門医がほとんどいません。具体的には、心療内科の専門医*1は多く見積もっても700人弱。対する精神科専門医が1万人超であるからその差は歴然です。さらに言えば、心療内科の専門家は精神科の専門医が兼ねている事も多く、純粋な心療内科医という方はほとんどいません。
それにしては、町中には「心療内科」を掲げるクリニック・病院があふれていますね・・・それが『なんちゃって心療内科』です。
『なんちゃって心療内科』問題
町中の心療内科の大部分は、"精神科医"が「受診しやすい」「軽い」などの誤ったイメージに便乗して、集客効果を狙って名乗っているだけの『なんちゃって心療内科』です。中身は精神科そのものです。
また少ないですが、"内科医"など精神科とは全く関係ない科の先生が名乗っていることもあります。本来なら心療内科は内科寄りの科なので、内科医が名乗るほうがまだマシなはず・・・ですが、現実には"擬似精神科"としてのイメージが定着しているため、精神疾患患者さんが内科医を受診することになって、大いに問題です。
余談ですが、「なんちゃって心療内科」を開業している内科医で、受診してきた精神疾患患者さんを全く治療しないまま数ヶ月~数年間放置し、十分に重症化するまで醸成してから「専門外なので」と宣って唐突に精神科へパスしてくるという、非常識な方が私の身近におります。そんな例(そこまでひどい例は稀だと思いますが)もありますから、私としては「心療内科」を標榜している機関を受診するときは、十分に下調べ(先生の本当の専門が何なのか)をすることをお勧めします。