「精神科医だけど質問ある?」>>1によるブログ

2ch「精神科医だけど質問ある?」スレ主が、過去の質問をもとに"よくある質問集"を作ります

専門家が匙を投げたー青森「いじめ自殺」審議会の闇。

まさに空いた口が塞がらない。あまりにお粗末な「審査会」に、専門家もついに匙を投げたのだ。

これだけみると「やっぱりイジメはいけないね」というただの記事なのだが、実はこの事件の審査会には壮大な闇がある。
こちらの記事を御覧いただきたい。約1年前の記事である。


 昨年8月に青森市立中2年の葛西りまさん=当時(13)=がいじめを訴え自殺した問題で、遺族は23日、事実関係を調査している審議会の一部委員の解任などを求める要望書を市教育委員会に提出した。
 要望書は、審議会がまとめた報告書原案が、りまさんを「思春期うつ」だったと認定した点を「思い込みとしか言いようのない判断」と指摘。精神科医ら委員2人を解任し、学校の対応と自殺の因果関係について再調査するよう求めた。
 父の剛さん(39)は「私たちに都合の良い報告書を望んでいるのではない。ただ真実を知りたいだけだ」と話している。
 審議会は今月11日、いじめがあったと認めた上で、自殺との因果関係は「解明できない」との報告書原案を遺族に示し、「納得できない」と遺族が反発していた。青森市の小野寺晃彦市長も20日に委員を入れ替え、調査をやり直させる意向を表明した

(フォント・文字色は著者編集)

「いじめはあった」。しかし「自殺との因果関係は解明できない」。冷静に考えれば至極当然の調査結果である。
また、思春期うつ病という認定は、仮にもその分野の専門家が何人も頭を突き合わせて出した結論であり一定の信頼が置けるだろう。
それを、当事者の一方である家族の抗議を受け、委員の入れ替えという荒業をもって、強引に出したのがこの結論なのである。

専門家は2ヶ月前に匙を投げていた。

で専門家が匙を投げたとは何かと言うと、実は今年6月「日本児童青年精神医学」という思春期メンタルヘルスの専門学会が、こんな声明を発表しているのである。

日本児童青年精神医学会 2018.06.17「児童・生徒のいじめによる被害や自殺等の重大事態に関する第三者委員会」への委員の推薦について

同学会は全国の「いじめ問題」で調査委員会が開かれる際、専門家の推挙を行ってきた経緯があるのだが、同学会は、別記の条件を満たさない限り、今後委員の推薦は行わないと表明した。
文面は上記リンクから全文が読めるのでご参照いただきたいが、あれこれ回りくどく書いてあるけど結論はシンプルである。
要約すると、

  • 委員会が中立であること
  • 委員会の決定が不満でも、特定の委員個人を批判したり委員の入れ替えを行わないこと
  • 委員会について市長(首長)が責任を持つこと

どうみてもこれは、

  • "被害者"遺族に一方的に肩入れして
  • 都合の悪い意見を述べた委員を攻撃して罷免し
  • まるで他人事のように振る舞う青森市の小野寺晃彦市長

に対する、全力の皮肉であろう。

私はこの声明の作成には関与していないが、はじめて読んだときまずこの事件を思い出し、そして関係者各位の悔しさが滲む声明に涙した。

こんな場末のブログが書いても影響力がないことはわかってるが、せめて青森の一件に携わった専門家各位へ、ここで改めて敬意を表したい。
そして青森市の小野寺晃彦市長をはじめとした立場のある方々には、くれぐれも理性的な対応を求めたい。