うつ病の人に「頑張れ」と言ってはいけない?
結論:半分本当で半分ウソ。
うつ病というと、従来は「責任感が強く、真面目で几帳面、秩序を重んじて他者との衝突を避ける」というような、いわゆる真面目・完璧主義*1な方が陥りやすいと言われてきました。確かにこのタイプの方は、周囲から発破をかけるまでもなく自分自身を限界まで追い込んでいるので、"励まし"を受けた側としては『これ以上どうしろっていうんだ!』と、追い打ちを受けたように感じ、事態が悪化する・・・こともあります。
そんなわけで、タイトルのような「うつは励まさない」というフレーズが広く知られるようになりました。
参考)典型的な"励まし"の例
どんな言葉も、受けとり方次第で悪く解釈できる
ならばと、「うつ病の友人に、どんな言葉を掛けたらいいですか?」という質問もよく聞かれるのですが、これはあまり明確な正解がありません。どんなに慎重に発した言葉であっても、受け取り方次第では悪く捉えることが出来るからです。
- 『頑張れ』→これ以上どうしろというんだ、鬱だ氏のう。
- 『大丈夫だよ』→気を遣わせてしまった、迷惑かけてる、鬱だ氏のう。
- 『ゆっくり休んで』→私は頼りにならないと思われてる、鬱だs(ry
ですので、うつ病の、特に症状の重い時期に関しては、どんな言葉であっても却って本人の負担になる恐れがあります。
励ましたほうがいい場合
えー、若干話が脱線しました。
本題の「励ましたほうがいい」場合についてですが、大きく分けると2つの場合があると思います。
「新型うつ病」は、励ますことも必要
数年前にマスコミが『会社には行けないけど、海外旅行には行ける』などと「新型うつ病」*3なる一群をこぞって取り上げていたことがありますが、一つはそういう方たちです。上で挙げた真面目・完璧主義タイプが『責任感が強すぎる』タイプだとしたら、こちらは『回避的』『責任感が無さ過ぎる』とでも言いましょうか。そういう意味でも、同じように対応していては仕方ない、というのは感覚的にも理解いただけるのではないかと思います。
"新型"と称される通り、近年急に涌いて出た感のある一群なので、こういった方たちにどう対処すべきかというのは、実はまだ良くわかっておりません。ただ、従来のうつ病と同じ対応をしていると、何年もずるずると休職・無職のまま怠惰な生活を送っている方が多いのが現状で、経験上『適度にプレッシャーを掛ける』方が良いというのが、徐々に指摘されるようになっています。そういう意味で、「励ましたほうが良いうつ病」の例と言えるでしょう。
そもそも「新型うつ病」は"病気"なのか?という議論もありますが・・・既に他のWebサイトなどでもこれについての言及は山程ありますのでここでは割愛。*4
「治りかけのうつ病」には励ますことも必要
こっちは、上で挙げた真面目・完璧主義タイプのうつ病についての話です。どうもネット上を見回すと、上の「新型うつ」の話題は多いのに、もっと基本的であるはずのこっちの言及が殆ど見当たらなかったので・・・。
従来からの古典的なうつ病であっても、当然ながら、症状が重く日常生活もままならない時期から、症状が軽くなり仕事など社会生活もほぼ元通り行える時期まで、色々な段階があるわけです。「励ましてはいけない」と言われるのは、主に『最も症状が重い時』についてであって、いわゆる"治りかけ"の状態については、さほどそのような配慮は必要ありません。
むしろ患者の視点からすれば、殆ど普段通り生活出来るようになったのに、周囲からいつまでも"腫れ物に触るような"対応をされてたらどうか・・・感覚的に理解いただけるかと思います。
たぶん、この話題はいろんなところで既に取り上げられて、語り尽くされてる感がありますが・・・一応参考までに。
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雑記:
このブログでは、あんまり他のサイトが取り上げないようなニッチな話題をメインに扱っていきたいと思ってます。当面は、週に1~2記事程度を目指しますのでよろしくお願いします。
「心療内科」「神経内科」「精神科」の違いは?
結論:全くの別物です。
特に、心療内科は「軽い精神科」では無いという点に注意しましょう。
<類似質問>
専門領域と、実際の表記
精神・神経関係の科名はとかく紛らわしいと言われます。ネットでざっと調べた所、実際にこんな「科名」があるそうです。特にまぎらわしそうなところをピックアップしました。
・・・えー、たしかに見慣れないと何だコレ状態になるかもしれません。実はここには『3つの分野』の科名が混在させてあります。皆さんは分類できるでしょうか?
とりあえず結論を表にしてみましょう。
基本 | 扱うテーマ | 病気の例 |
---|---|---|
精神科 | "精神"の問題 | 統合失調症、躁うつ病、うつ病 |
神経内科 | 臓器としての脳神経 | パーキンソン病、脳梗塞、頭痛 |
心療内科 | 精神的な問題と関係する身体の病気 | 胃潰瘍、気管支喘息、過敏性腸症群 |
本当の"心療内科医"はほとんどいない。
ところが、現実には大きな問題が有ります。「心療内科」という科は歴史が浅く養成機関もわずかなことから、専門医がほとんどいません。具体的には、心療内科の専門医*1は多く見積もっても700人弱。対する精神科専門医が1万人超であるからその差は歴然です。さらに言えば、心療内科の専門家は精神科の専門医が兼ねている事も多く、純粋な心療内科医という方はほとんどいません。
それにしては、町中には「心療内科」を掲げるクリニック・病院があふれていますね・・・それが『なんちゃって心療内科』です。
『なんちゃって心療内科』問題
町中の心療内科の大部分は、"精神科医"が「受診しやすい」「軽い」などの誤ったイメージに便乗して、集客効果を狙って名乗っているだけの『なんちゃって心療内科』です。中身は精神科そのものです。
また少ないですが、"内科医"など精神科とは全く関係ない科の先生が名乗っていることもあります。本来なら心療内科は内科寄りの科なので、内科医が名乗るほうがまだマシなはず・・・ですが、現実には"擬似精神科"としてのイメージが定着しているため、精神疾患患者さんが内科医を受診することになって、大いに問題です。
余談ですが、「なんちゃって心療内科」を開業している内科医で、受診してきた精神疾患患者さんを全く治療しないまま数ヶ月~数年間放置し、十分に重症化するまで醸成してから「専門外なので」と宣って唐突に精神科へパスしてくるという、非常識な方が私の身近におります。そんな例(そこまでひどい例は稀だと思いますが)もありますから、私としては「心療内科」を標榜している機関を受診するときは、十分に下調べ(先生の本当の専門が何なのか)をすることをお勧めします。
人を殺しても「おかしなふり」をすれば無罪ですか?
実に突っ込みどころが多い質問ですが、質問意図はたぶん下の2つでしょう。
『精神鑑定』で無罪?
これは定期的にマスコミを賑わす話題ですが、google:刑法39条ですね。
犯人に精神科通院歴があるとわかると、皆さん大喜びでこの話題を始めます。
詳細な説明*1は省きますが、よく誤解されている点についての指摘だけ。
「病気だから無罪」ではありません。
通院歴があるとか精神病の診断を受けているなどの時に、週刊誌等は患者の病名をとかくクローズアップしますが、実のところ、通院歴とか病名自体は裁判ではあまり問題にされません。重要なのは、その病気が、犯行時の判断にどのような影響を与えたかであり、病名や通院歴というのは、あくまで判断材料に過ぎません。
過去には、精神病に対する多分な偏見から、病名とこれらの判断が一対一対応になってしまい、『分裂病(統合失調症)なら何しても無罪』のような時期が、実際にあったと聞きます。しかし少なくとも現在の裁判では、そのようなことはありません。統合失調症患者だろうと、病気の影響外の行為であれば、当然健常者同様に罰せられる事になります。
精神科医を"騙す"ことは出来るのか?
これは、役者によるとしか言えません。
精神医学的な知識の無い一般人が、単に"キチガイ"を装おうとしても早々にバレます。バレる・・・という言い方が適切かはわかりませんが、少なくとも"病気のせいで犯行に及んだのでは無い"という程度のことは、すぐ見ぬかれてしまうと思います。
ただ、役者が十分に精神医学的な知識を持ってる場合、あるいはそうした訓練を受けている場合(!?)は話が異なり、特に短時間の診察であれば、騙し切れる可能性も無いとは言い切れません。ただし現行法で、本格的に『精神鑑定』が行われる場合、2ヶ月間、特別な病棟で常時周囲の目に晒される中で生活することになりますから、これを騙し通せるというのはもはや常人の域を越えてるように思います。そんな人がいるとしたら、責任能力とは別の意味で、やはりどこか病んでるのではないでしょうか。
*1:キチンと理解するには「責任能力」についての話をしないといけないので・・・興味ある方は以下リンク参照。刑法第39条 - Wikibooks
認知症は将来治る病気?
結論:治療の目処は立ってません。
これについては分かりやすい記事があったので2つ紹介。
加齢と密接にかかわる認知症を撃退するのは現状では至難の業で、やはり衆人が期待する根治薬ではなかった。以上はあまり語られないことだが、患者さんや家族の希望が落胆に変わらないよう、事前に知っておきたい認知症薬事情である。
認知症 意外に知られていない6つのこと : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 1/6
「じゃあ、認知症が治ったっていうけど、本当に治るの?」という質問にはどう答えるだろう。治る場合と、治らない場合がある、だろうか。治る認知症と治らない認知症があるのだろうか。
いや、ない。「認知症」は治らない。こう言うとみもふたもないと思われるかもしれないが、これがお約束だ。つまり、治らないものを「認知症」と呼ぶのだ。えっ!と思ったら、「認知症」理解の一歩目を踏み出したことになる。
教えます、認知症がわかる魔法のことば : 深読みチャンネル : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) 1/4
印象深い部分を一部引用したが、詳細についてはぜひリンク先を一読いただきたい。
言葉遊びはともかく、現在「認知症」と呼ばれる一連の病気(主にアルツハイマー型認知症)について、いまは「進行を遅らせる」ことが精一杯。最先端の研究が、認知症『予防の可能性を探ってる』くらいの状態です。既になってしまった認知症を「治す」ことは世界中の関心事ですが、いまの所現実的な解決法はありません。
昨今の薬の開発競争には凄まじい物があるとはいえ、今の現役世代が治療の恩恵に預かることは無理じゃないかと思われます。ただ、遠い将来という意味では・・・果たしでどうなるでしょうか?
スレの返信分
http://hayabusa3.2ch.net/test/read.cgi/news4viptasu/1448115923/
※スレの未返信だった分の返答です。
1週間ぐらい掲載した後に消しますのであしからず。
>>965
お幾つの方かわかりませんが、とにかく、よく勉強して下さい。
「精神科になるには何の勉強をすればいいですか?どんな本を読めばいいですか?」と聞かれることが良く有ります。
夢を壊すようで悪いですが、いざ精神科医になって働き始めるまでは、とにかく『目の前の勉強』をして下さい。中学生は中学校の、高校生は高校の勉強です。我流で心理学なり精神医学をカジるのが悪いとは言いませんが、少なくとも実用性は皆無です。目的を達したいなら、まずは今与えられた課題を全力でこなすことです。全てはそれの積み重ねです。
なお、医師免許さえ取れれば何科になるも個人の自由ですが、免許取得には、大学受験から専門教育から国家試験まで、とにかく試験だらけです。
免許取ったら取ったで、専門医試験やら指定医レポートなど更なる試験と、仕事を続ける限りつきまとう勉強の日々が始まります。
勉強嫌いの方は、そもそも医師になることはお勧めできません。医師はセンスや才能で出来るような仕事ではありませんので、地道な積み重ねが出来る方こそ向いています。
>>966など
自信がなくたっていいじゃない。
『自信を持っていないといけない』と、信じる自分を捨てたらいいと思うな。
>>969
で き ま せ ん 。
そんなことできたら、医者なんてやめて別の仕事してます。
占い師とか詐欺師とか。
>>971
ありがとうございます。
またいつかお会いしましょう。
XX年間通ってますが良くなりません。病院を変えるべき?
結論:変える必要はありません
まず変える必要は無いとお考え下さい。
治療が変わることは滅多に無い
病気の種類によっても異なりますが、精神疾患では治療に年単位を要すものも珍しくありませんし、適切な治療を受けても、本人が期待するほどの改善が得られるものばかりではありません。あなたの主治医が無免許医師であるとか、1000人に1人レベルの藪医者*1でも無い限り、医療機関を変えることによって治療が大きく変わることはありません。
転院とは「ふりだしに戻る」こと
期待と異なるからと、治療を自己中断しては医療機関を"サーフィン"する方は少なからずおりますが、その都度治療を振り出しに戻すだけで、害多く益少ない選択です。
熱心な主治医であればそのような患者を何とか引き留めようとするでしょうが、大体は無駄な努力に終わります。それどころか「紹介状を書いてくれない悪徳医者」などとネット上に書き込まれ、叩かれたりしているのをときどき見かけます、本当は正しいことしてるのにね。一方多くの主治医は「これ幸い」とばかりに、"厄介な"患者をそのまま笑顔で見送るでしょう。
それでも転院したいんだ!
転居などやむを得ない事情を除いて転院はお勧めしませんが、それでもなお"今の治療が信用出来ないんだ!"ということであれば、紹介状を書いてもらって転院することや、セカンドオピニオンを取るなどの方法もあります。
その場合は、以下の2点をくれぐれも注意して下さい。
必ず現主治医の紹介状を持参
紹介状無しに別の医療機関を受診するのは絶対にやめましょう。これは患者自身にとって説明の二度手間になるだけでなく、過去の治療経過・処方歴などの貴重な医療情報を全て捨て去ることになるため、ご自身の治療にとって大変な損失です。
また、「現主治医が気に入らない」「会いたくないから」などという理由で紹介状の持参を拒んだり、あるいは現在通院中であることを隠して、病院の「品定め」目的に複数の病院を次々と受診される方が時々いらっしゃいます。こうした身勝手な重複受診は、ご自身の不利益になるだけでなく、医療機関に無用な負担をかけ、社会に対して多大な損害を与える行為です。絶対にやめましょう。
3箇所回って同じだったら観念しましょう
"青い鳥"を探し求めて5箇所も10箇所も精神科を転々とされている方にしばしばお会いします。私個人は"転院したから良くなった"という話は聞いた試しがないのですが・・・。私は、治療方針に納得できず転院を希望された患者さんには、『3箇所受診して結果が同じだったら、そういうモノなのだと諦めて下さい』と説明して送り出しています。4カ所目に都合よく「神の手」の名医が現れるなんてことはありませんので・・・
*1:なお日本の精神科医がおよそ1万人強ですので、国内TOP10に入るヤブ医者とも言えます
"大人の発達障害"について
- 自分は"大人の発達障害"の可能性はありますか?
- "大人の発達障害"と診断してもらうにはどうしたら良いですか?
- "大人の発達障害"で休職することになった時、何を考えるか?
- "大人の発達障害"のせいなのね、そうなのね♪
このテーマは非常に質問が多かったので一個の記事にまとめてしまいます。ここでいう発達障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、広汎性発達障害(PDD)、アスペルガー障害、注意欠陥多動性障害(AD/HD)、精神発達遅滞(MR)などの事です。個別の詳細は割愛。
自分は"大人の発達障害"の可能性はありますか?
私の回答ポリシーとして、「私の病名は何ですか?」「私はXXですか?」という質問には原則お答えできません。詳細については、お近くの精神科を受診してご相談下さい。
・・・が、この質問に関してはあまりにも同様の質問が多いので、思いつくことについてつらつら書いていきます。
「仕事がうまくいかない」のは"大人の発達障害"?
大体この質問をされる方は、「仕事がうまくいかない」「物忘れが多い」「集中できない」「気配りができない」などなど日常生活における失敗が多く、そうしたことをご自分で気づいたり、製薬会社のTVCMやWeb広告を見て気になったり、あるいは「お前は発達障害だから精神病院行け!」などと上司や同僚から指摘されたりした方が多いようです。
もちろん本当に"大人の発達障害"である可能性はありますし、そうでなくても別の精神疾患の可能性も否定できません。日常生活に耐え難いほどの苦労が多いのであれば、『発達障害』というキーワードにこだわらずとも一度精神科を受診してみるべきだと思います。
ただ・・・こういった症状って、誰でも少なからず当てはまる事じゃないですかね?なるほど、製薬会社のホームページなど行くと上のような事が確かに書いてありますが、製薬会社は自分のところの薬を売りたいですから、大人の発達障害が"増えて"くれたほうが嬉しいわけです。そのことは、一応念頭に置く必要があると思います。
なお私の感覚ですが、自称「大人の発達障害」の方の半分以上は、発達障害ではなく別の精神疾患(適応障害、パーソナリティ障害、うつ病など)です。特に病気とは呼べないような方もいらっしゃいます。
上司や同僚からの"発達障害"の指摘
"大人の発達障害"などという単語が流行る以前から、ネットを中心に「アスペ」(アスペルガー)という単語が、元の意味を離れ、単なる蔑称として広く流布しているという現状があります。最近の「発達障害を指摘する上司」の増加も、それと同じ事ではないかと考えてます。
発達障害というのは列記とした『病名』であって、診断のためには十分な診察や専門的な心理検査が必要となります。もちろん、"あからさま"な発達障害の方というのは確かにいて、少し知識のある方が見ればひと目で分かるというケースもありますが、実際にこうして上司に促されて来院される方の多くは、発達障害ではなかったり、あるいは病気ですら無かったりします。
要するに、非専門家による「発達障害」認定は、ただのレッテル貼りであり、差別発言に他なりません。相手にしないことです。
"大人の発達障害"と診断してもらうにはどうしたら良いですか?
私としては非常に理解に苦しむ質問なのですが*1、なぜか同様の質問が多く寄せられていました。受診の際のあれこれについて。
受診するのは、精神科ならどこでも良いですか?
『大人の発達障害を扱ってます』と、積極的にアピールしている医療機関を選ぶことを強くお勧めします。
多くの精神科医は、"大人の発達障害"に対して苦手意識を持ってるか、あるいは"そんなもの病気とは認めない!"って方もおります。
そもそも、従来からある典型的な小児の発達障害(自閉症など)の診療というのは、多くの場合、そうした分野に詳しい小児科医や、発達障害専門の精神科医が対応しておりました。一般の精神科医が関わることは殆どありません。それなのに、疾患概念すらまだよく固まっていない「大人の発達障害」というのが突如製薬会社主導で喧伝されて、典型的な発達障害の診療経験すら乏しい一般精神科医のところに詰めかけてるので、多くの精神科医は内心辟易しております。私もその一人です。最近では様々な普及活動に寄って、診断程度は行える先生が増えていますが、いざ『治療』という段になると、正直ほとんど手を出せないのが実情だと思います。
"大人の発達障害"で休職することになった時、何を考えるか?
これは発達障害に限らず殆どの精神疾患で言えることですが・・・
発達障害は、広い意味での「病気」ではありますが、『病気なら仕事が出来なくても許されるのか?』といえば現実問題として許されません。*2実際、外来を訪れる方の中には『発達障害だから急に仕事任せられても出来ません、もっとゆったりした仕事に変えてほしい!』などと主張する患者様たちが多くおります。でも冷静に考えて欲しいのですが、常識的に考えて、そんな要求を一方的に突きつけてくる社員を、引き続き雇いたいと思う経営者がいるでしょうか?例の社労士のような対応は論外としても、あまりに"ワガママ"な要求ではないでしょうか?
精神疾患に限らず、病気であるということは「労働する能力が低い」ということです。だから卑屈になれとは言いませんが、医師の診断書を免罪符か何かと勘違いして『俺様は病気なんだ、お前らは俺のために尽くせ!』と会社に要求するようでは、誰も貴方を助けようとなどしません。まず変わるべきはあなた自身だ、ということは忘れないほうがいいと思います。そして会社が手を差し伸べてくれた時、感謝しながらお互いに歩み寄ると、復職への道が開けると思います。
※例の社労士 「モンスター社員をうつ病にさせる方法」で物議の社労士 「ダメージ与えて真人間に立ち直らせるのが真意」と釈明 | キャリコネニュース